ベトナム人技能実習生送り出し機関で働く日本人が、技能実習と特定技能は対立するものではなく共存するものだと考える件につきまして

送り出し機関で働いていると腹が立つことは結構あり、その理由としては主に

1.働いている会社が日本の法律を少しもリスペクトしない

2.日本人が外国人を見下す

の2つに分けられます。

今働いている送り出し機関は1に関しては結構丁寧に話し合っているし、戦略としても取り入れているので、これによって腹が立ったりすることはありませんが、以前働いていたところは、あらゆる日本の法律、省令に触れている感じでしたので、毎日冷静ではいられなく、食も細くなり、ズボンもブカブカになるくらい痩せていきました。

今腹が立つのは、大なり小なり2に集約されます。

 

特定技能で新規参入しようとしてベトナムに来る業者に多く、偏見も多少入っているかもしれませんが、外国人材界隈でSNSで積極的に発言されている方々は、本人たちはそのつもりがないにしても悪質業者や悪質ブローカーが多く混じっています。

本人たちにそのつもりがないというのは、そもそも日本や海外側の法律を理解していない人、または日本側送り出し国側の事情を知らないことが原因ではないかと思います。

 

これを強く感じるのが、技能実習は悪質な業者だらけでオワコンで、特定技能ではそれを良くでき、これからは特定技能だぜぇという対立軸で考える意見に触れるときです。

そういう人に限って、この業界では誰でも知っている悪質ブローカーと握手しているような写真をSNSに乗せて、「これから正しい外国人材の未来を一緒に作っていきましょう」などとアップしていて、痛々しすぎる。

私が考えるに、技能実習と特定技能は対立するものではありません。

そもそもチラチラと国内国外で技能試験が開催されていますが、合格者の人数、合格者の中から本当にその職種での就職を希望する人数が、受け入れしたい人数に全く届いておりません。焼け石に水とはまさにこのことです。

また、その試験を突破できるような人材も、技能実習2号のない外食業や宿泊業は日本語がわかって多少勉強した人なら合格できるにしろ、建設業や製造業で例えば溶接だとか、その道である程度勉強した人でないと合格できないのではと思います。

そうなると、それを教えられる人が必要で、その金はどこから出てくるんですか?

特定技能に行く本人たちが自腹きってそんな勉強すると思いますか?

建設業では延期されましたが、ベトナムの建設学科のある短期大学などと連携してやる予定だったようです。その金を誰が負担するのかはわかりませんが、専門の短期大学を卒業するような人ならある程度の知識や技能は持っていることでしょう。

こういう風に専門学科のある大学や短期大学と連携するのは良いですが、そもそも単純労働の話であり、いくら途上国とはいえ、すさまじい勢いで発展している国で何万人もの高等教育を終了した人を単純労働しかも低賃金で採用できるものでしょうか。しかもN4まで取らせて。

現実的なのは技能実習2号を修了したばかりで、まだ海外での刺激的な経験が忘れられず、母国に帰るよりも直近3年間を過ごした日本にいたほうが楽という人たちです。

特定技能は現状、今後数年(数年で済めば良いですが)は、技能実習なしでは成り立たない制度です。

 

また、特定技能バンザイ的なバカに最も腹が立つのは、「技能実習は初期費用30〜40万かかるけど、特定技能はタダだよ」など、企業に吹いている連中の多いこと。

単純に考えてわかりませんか?

特定技能は技能実習に比べてえらいハードルが高いんですよ。

日本語検定4級だって、半年や1年で取れるかどうかわからないし、その上、試験に応募することすら狭き門で、落ちたら次がなかったり、次があったとしても半年後などの技能試験。

こんなもんにわざわざ金と時間をかけて挑戦する人が何万人もいると思いますか?

しかも企業が初期費用なし、あるいは技能実習よりも安い金額で採用できるということは、借金漬けで悪名高い技能実習よりも外国人材本人たちが負担することになって、オタクらが毛嫌いしてSNSで悪口書いている「悪質ブローカー」以上のことを自分たちはやってるんですよ。

日本で稼いだ日本円が母国に帰ったら数十倍になっていた時代はウン10年も前に終わっていますよ。日本は先進国の中でもかなり賃金の低い国ですよ。

こんなアホな制度で大量に外国人が日本に来たがっていると思うような連中をバカと言わずに誰をバカと言うんだろうか。

特定技能で日本に行くような中心は、オタクらが嫌っている技能実習制度を修了した技能実習生たちです。

送り出し国側でもそうですが、外国で働く人材を募集したり教育するには送り出し機関のライセンスが必要で、そのライセンスとるにはえらい金や手間がかかったりして大変ですが、合法かつまっとうなやり方でやっていくためにはライセンスが必要です。

日本側も同じです。まっとうなやり方で技能実習を扱うには組合や公益法人でなければならなかったり、さらに監理団体の許可が必要で金も手間もかかります。

そういうのを持っていない連中にとっては、「儲かってそうな監理団体憎し」となり、何かと理由をつけて正当化して合法的な立場ではないブローカーとなったり、バカでも取れそうというより取っている「登録支援機関」になって、妬みやそれによる憎しみを含めて「技能実習批判」をしているだけだと思います。

技能実習が問題が多くて許可制にしたのに、もっとヤバそうな人たちが大量に参入してくる特定技能を登録制にしたのはどういうわけでしょうね。今後は技能実習もたまげるほどの問題がたくさん出てくることと思います。

私は特定技能を何ら否定するものではなく、技能実習バンザイでもアンチ特定技能でもありません。

将来的には、初めて日本に行く技能実習組と、再来日する特定技能組が入り乱れて日本で活躍してくれると考えており、どちらが正しいかなどとは考えません。技能実習と特定技能は対立するものではなく、共存するものです。

今後は特定技能がハードルを下げて技能実習に近くなった後に、技能実習が廃止となることも十分考えられますが、現状ではN4プラス技能試験の応募すら狭き門で長い時間かかるようなものに来てもらうには騙すしかありません。

特定技能には20万を超えるような求人も多いので、「頑張れば給料高めの仕事に就けるよ!」などと言って勉強を頑張らせることができますが、ほとんどの地方の企業などは15万や18万、下手すると12万円とか最低賃金切ってんじゃないですか?というのも見かけます。

そういうのは外国人をバカにしている認識はないでしょうが、世界の中の日本の状況を全く理解していないことや、無意識的に外国人をバカにしているようなところがあって腹立つ。

最近はのんびりした日常的なブログ内容ばかりでしたが、今日は毒を吐きたい気分でした。