特定技能で送り出し機関が踏み込めないのは、日本に梯子を外されるリスクがあるから

SNSでいかにも自分は信頼できる外国人材のプロですみたいな投稿していて、実際は悪質ブローカーで、最近は登録支援機関もとったらしい某氏が、

「特定技能のニーズがバンバンあるぜぇい!バンバンいくぜぇい!」

みたいなことを書いていました。

実際に何人か入国したような感じで、これからも企業からの依頼がたくさんあるので、バンバン募集するみたいなことを書いていました。

ベトナムでは日本とのガイドラインもこちら側の省令も決まっていないため、多くの送り出し機関が様子見だったところ、最近は技能実習生2号修了者を在留資格が出て入国している例も多くなってきているため、取り組みはじめているところも出てきているように思います。

私の勤務先でも一人特定技能の在留資格がでたため、これからバンバン行けるかという気もないわけではありませんが、まだまだリスクを感じています。

 

ベトナム側は介護で日本に梯子を外された経験があるため、特定技能でも慎重に

先ほどの某氏の話ですが、私はこの方とは直接の面識はありませんが、前働いていた送り出し機関で私が入社する前から監理団体でもないのに介護技能実習生を発注し、日本で働く場所も決まっていないのに半年から1年くらい勉強させ、介護が難しいとなったときに放り出していたのでよく知っています。

SNSで「この業界をよくしよう」とか言っている人の中にも、こういう連中はけっこう混じっているので信用できません。

契約書はお調子者のベトナム人スタッフが作ったもので、でたらめの日本語文章で、書くことが決まってない項目は「。。。」と入っていて、みるからに作りかけなのに押印&サインしてありました。

この人は東南アジアのいろんなところで商売しているため、こんな契約書はいくらでも踏み倒せることがわかっていてサインしたのではと思いました。

介護ではこのように日本に行けなくなった人たちがベトナム中で多分数千人はいたと思いますが、日本に行く予定だった人たちからは「送り出し機関に騙された」と言われ、自分たちから依頼したり、一緒に踊った共同加害者である日本の監理団体や介護施設も「送り出し機関にだまされた」などと被害者面して、送り出し機関に賠償を求める組合や施設もありました。

送り出し機関も一緒に踊った加害者であることに変わりはありませんが、加害者一味だった日本から梯子を外されて非難までされた状態でした。

海外での特定技能人材募集はタダだと思っている日本のアホ業者たち。費用がかかると法律で決まったらどうなる?

送り出し機関としてガイドラインも省令も決まっていない現在、特定技能に向かて進んでいくことをためらう理由は、国際間のルールがないため今はやりたい放題で日本側も某氏のようにイケイケドンドンで求人とかもたくさんありますが、ルールが決まったときに、いくらでも日本側から梯子をはずされてもおかしくないからです。

ほとんどの日本の業者は、特定技能の話がでたときから現在に至るまで、どういうわけかタダで送り出し機関に募集してもらえると思っているようです。

最近もSNSでもアホな行政書士が「送り出し機関は日本側から手数料を取ろうとしている。けしからん!」などという投稿がありました。

送り出し機関にタダで募集させて、自分たちは企業から年収の20%とかの手数料をとって、「バンバンだぜぇ~」というバカなビジネスモデルを夢想していた人たちがたくさんいます。本当に頭のネジがどうなってんのか知りたい。

では送り出し機関はどこから経費を賄うのか?企業からもらえないとすると、日本に行く人材側からいただくしかありません。こうなると技能実習と同じだし、現状は技能実習のように日本側ベトナム側での悪質なやり方を防ぐものが皆無なので、もう一度日本に行きたい人の足元を見て、やりたい放題できると思います。

技能実習の借金問題を特定技能でも繰り返さないためには、企業が金払うのが当然でしょう。そもそも入国の要件も技能実習よりハードルが高いので、借金してまでこのハードルを越えようとする人材がいることも想像できない。

こういうアホ行政書士をアホと言わず、誰をアホというのか。こんなことすら想像できないのか。こういうのは、日本側が払わないので、送り出し機関が人材側からとることも非難します。送り出し機関は慈善団体ではないんですけど…。慈善団体だったとしても経費はかかるので、無収入というわけにもいかないんですけど…。

このアホ行政書士&登録支援機関は、「日本側から金を取らない適正な送り出し機関を見つけたい」などと言っている。日本側から金取らないで、人材からだけ取る送り出し機関は「適正」じゃねぇだろ。人材側と企業側とダブルで高額取る送り出し機関はダメだけど、日本側から負担してもらって人材の負担を下げるほうが適正だろ。

技能実習にも、送り出し監理費払わんとか、教育費払わんとかたくさんいるので、特定技能でも同じ考えのヤツを見るとうんざりする。こういうのが行政書士とか登録支援機関ですよ。

こういう募集は送り出し機関にタダでやらせて自分たちはピンハネで稼ごうという連中を見抜けなく関わってしまったらどうなるのか。

 

日本側のアホ業者におだてられて梯子を外されたら、一番痛い思いをするのは日本に行きたいと思っている人たち

ベトナムでの特定技能は、現在は好き勝手にやりたい放題ですが、今後ガイドラインができて、ベトナムでも省令ができて、「こういう手続きをしなさい」「日本企業はこういう費用を負担しなさい」というルールができたときに、こういうイケイケドンドンピンハネ連中は最初から金もらうことばっかり考えて、払うことなど想定していないので、金がかかると知ったとたんに梯子を外す可能性があります。

冒頭の某氏が募集させて日本に行くために日本語を一生懸命勉強していた介護実習生たちを、「あ、あれね、キャンセルで」と簡単に言って終わっただけかどうか詳細は知りませんが、それに近いものだったと考えています。

一番気の毒なのは、日本に行けると思っていた人たちですが、その人たちと直接関わる送り出し機関としても大変です。ドタキャンされていろいろな費用をかけた上でタダ働きなだけでなく、信用も失って「悪質送り出し機関」認定されたり、何より日本に行けると思って目を輝かせていた本人たちに伝えるのとか顔を合わすのがつらい。

 

梯子を外すのは悪質業者に限った話ではないので、送り出し機関側としても慎重にやりたい

ドタキャンとか、梯子を外すというのは、某氏のような悪質業者に限った話だけではなく、真面目なところでも梯子を外すケースが時々あります。

日本での事情が変わったので仕方ないとは言え、今までの努力が無駄になり希望を打ち砕くことを伝えなければならないのは我々送り出し機関です。

日本側は、そういうところを簡単に考えているのは、単純に海外のことなので背景もわからないし想像もつかないからだと思います。

去年静岡で、中国からの技能実習生のドタキャンがあり、送り出し機関が無理やり送り込んで空港で入国審査できず宙ぶらりんになった件など、送り出し機関の立場からは想像するだけで恐ろしいです。

エンジニアの紹介や現状の特定技能でも日本側との契約書などはつくりますが、例の某氏のように守るつもりがない人もいます。

私個人の考えですが、国と国の間で人材を守るルールのないエンジニアや特定技能での送り出しよりも、技能実習の方が安心して送り出せます。特定技能でも早くルールができることを望んでいます。